西田酒造

油川から青森市内を望む 1986.8.10 鉛筆・クレパス
本州最北端の地、青森。 青森市油川は、かつては「大浜」と呼ばれ、鎌倉時代から戦国時代にかけては「外ヶ浜」(津軽半島の東海岸一帯を指す)で最も栄えていた港であった。 この油川大浜に明治11年(1877年)創業の青森市唯一の酒蔵「田酒」「喜久泉」の醸造元である西田酒造がある。
以前に訪れてから20年ほど経つのだがきれいな雁木の印象が強く残っていて再訪した。(2004/8/16)
前回訪れたときには気が付かなかったが、敷地内にある蔵(上図右端の建物)の屋根の母屋桁が二段に迫り出した木組みに支えられているのを発見し西田酒造さんのご厚意でじかに見学することが出来た。
多雪地帯の土蔵において外壁保護のために腰廻りに張られた横羽目板をよく目にするが、そういう雪除けの機能と街道への豪壮な印象をもたせたものと想像される。
また、油川は松前街道と羽州街道の合流地点であり、国道280号線沿いの西田酒造店の傍らには、「羽州街道・松前街道合流之地」の石碑が建っている。
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国際芸術センター青森
青森市といっても八甲田山に向かってかなり行った山中にある建物で、芸術家が長逗留して制作活動が行える施設である。青森市制百周年記念事業で企画された指名コンペによるもの。設計者は安藤忠雄。
バス停前の広場から、木材で鳥かごのように組んだシリンダーシェルの屋根が森の中へ長い通路で導いていく。森の中に埋没したような丸い建物や、谷に架かる直線状の建物と、まことに単純な記号化したような形態で、環境と対峙した建物群だ。
円形建物の外周は展示棟で、内部は水面を舞台に見たてた屋外ステージ。円の中心と思われるポイントに逆円錐の物体が朱色に輝いている。(設計意図とは関係なくこのときの展示物とのこと)
若い芸術家達が大自然を感じさせる山にこもって制作できる環境とは・・・なんて素晴らしいことだろう。雪深い寒冷地のこと、踏み入るには限られた期間であろうが、大いに利用してもらいたいものだ。
一つ気になるのは展示棟の裏側の室が雪を山積みにした倉庫だった。多分夏季の冷房に利用するものなのだろうが、この自然の中でどれだけ利用価値があるのだろう。それよりも単純に倉庫だけの利用にする方が遥かに良かったのでは?環境に託けたエンジニアの独り善がりを感じる。
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