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館内に展示されている模型より  photo & CG処理

千葉市中央区役所ロビー


 なんと不思議な外観をした建物だろう。
堂々とした現代のゴシック建築?とでも云えるような雰囲気を漂わせている。
 この建物は地上12階、地下3階という規模で、平成7年(1995)に区役所と市立美術館の複合建物として建てられたものである。 (設計:大谷研究室)

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外観正面

断 面 図

2008.4.12 鉛筆・透明水彩

 1階に潜り込んでいる建物は昭和2年(1927)に建てられた旧川崎銀行千葉支店である。この機会に建物全体を修復し、鞘堂方式でそっくり保存して市民のロビーとして再利用されている。その名も 「鞘堂ホール」 

 旧建物の両脇は、金魚鉢のようにガラスで囲まれた新建物のエントランスホールで、このホールに面して昔のままの飾り門(エディキュール)が旧建物への入り口として誘っている。

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エントランスロビー

旧・千葉銀行支店 内部

2008.4.12 鉛筆・透明水彩

平面図(説明板よりCG処理)

 内部は中2階の廻廊をめぐらし、中央部には天窓を配し、きらびやかなシャンデリアも下げられた豪華な内装である。さらには赤や緑の大理石を用いた列柱、床中央部にはモザイクタイル、そして廻廊を支持する片持梁のレリーフ装飾・・・・どれを取っても、銀行の信用を最大限に表現したものという事だろう。
同じ設計者により東京・日本橋の本店(現在はない)が同年に竣工しているが、これ以上の豪華さではなかったのかと思うと、保存されなかったのが惜しまれる。(外壁の一部が愛知県の明治村に保存されてはいるが・・・)

 この竣工した昭和2年(1927)という年は第一次世界大戦(1914-1918)の大戦景気から戦後恐慌(1920)、関東大震災(1923)に遭い、新しい建物が豊富な資金で次々に建てられた時期である。そして取り付け騒ぎがおきたとも聞く金融恐慌の起こるその年である。 まさにバブル景気の終焉を告げる年だったのだ。

設計は矢部又吉(1888-1941)

 川崎銀行は水戸出身の川崎八右衛門(川崎財閥)により設立された銀行で、同じ設計者(矢部又吉)により県内では大震災前に「川崎銀行佐倉支店」・「川崎銀行佐原支店」(大正7年竣工)、震災後に「本店」を東京・日本橋(昭和2年竣工)に開設している。
「佐倉支店」は「佐倉市立美術館エントランスホール」として、「佐原支店」は「佐原三菱館(観光施設)」として町に残されている。



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