佐倉市立美術館(旧川崎銀行佐倉支店)この美術館は平成6年(1994)に開館した比較的新しい美術館(設計:坂倉建築研究所大阪事務所)だが、エントランスホールは大正7年(1918)に建てられた煉瓦造りの歴史的建造物(千葉県指定有形文化財)をそっくり利用した建物なのである。 ここでは敢えてこの古い建物を取り上げてみたい。 ![]() 2007.3.18 佐倉市立美術館 鉛筆・透明水彩 この歴史的建物の始まりは大正7年(1918)からの「旧川崎銀行佐倉支店」で、それから昭和12年(1937)には佐倉町役場に、昭和29年(1954)の市政の施行に伴い佐倉市役所に、そして佐倉市立公民館(1971-76)、佐倉市立図書館(1976-83)、佐倉新町資料館(1986-92)として利用され、さらに平成6年から現在の美術館のエントランスホールとして美術館に併設され、フルに利用されて来た。もちろん内部は改装が繰り返され往時の面影は見られないが、外部についてはバロック風の装飾を伴ったルネッサンス様式とも呼べるような往時の雰囲気を今に伝え、魅力的なランドマークとなって市民に愛されている。 竣工から90年程生きてきた建物だが、歴史ある収蔵品を納める美術館を温かく見守っているようだ。 設計は矢部又吉(1888-1941) 同じ設計者の建物として、これと同じ双子の建物が「川崎銀行佐原支店」(大正7年竣工)として残っている。 |