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航空公園駅前には最近まで日本の空で活躍していたYS-11機が展示されている

所沢聖地霊園礼拝堂


 所沢という町は不思議なことに市役所などの市の主要な建物は「所沢」と名の付く駅には所在せず、ここ「航空公園」駅前の大通りに集中してある。 長らく戦前の所沢飛行場が米軍により接収され、昭和46年に返還されてから、その跡地に集中して公共建物が建てられたという結果だ。 この駅から東に数キロ行ったところにこの礼拝堂がある。

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埋もれた形が正面入り口から歩みを進めていくと姿を現してくる  2005.10.2 鉛筆・透明水彩

 この霊園正面口に立つと、遠くに屋根頂部の明りで迎えてくれるのがこの礼拝堂である。
芝生の大地、銅板葺きの屋根、石畳、近づいていくうちに白い壁、アクセス正面の水盤、軸線を曲がることによって入り口正面に至る。
アプローチ側からの緩やかな芝生の斜面は礼拝堂まで続き、その下は明るい地下を造り出し、納骨堂となっている。 さらに芝の斜面は続き、あくまでもなだらかな大地が天にも上昇するかのようにゆっくりと立ち上がる。 大木に囲まれることにより、この場所は別世界になるのだ。

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納骨堂 鉄扉メモ  2006.03.26 鉛筆・透明水彩

左手は納骨堂。 その扉はさびた鉄扉で不規則に引き裂いたような穴は夜の世界の星を現しているのか。 引手は艶めかしくも鉄扉自体がめくり上がり、日常の世界からの入場を手招いているようだ。

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礼拝堂 内部  2004.06.06 鉛筆・透明水彩

 礼拝堂内部は集成材による小屋組、彫刻的に切り抜いた壁の開口部、そして天空から降り込む外光で厳粛な雰囲気を造り出している。
正面は全面ガラスで、外のアプローチから続く芝生の斜面で埋め尽くされる。この建物のテーマが室内の椅子に腰掛けて初めて理解できた。

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この建物は1973年完成。 翌年に日本建築学会賞を受賞している。
 設計は早大教授:池原義郎。 池原の恩師は今井兼次である。



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