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何時ぞや Nさんから頂いたアカンサスの苗 育ってます

Nさんのアトリエ


 2007年、松の内も取れ正月も一段落した頃に一枚のはがきが届いた。
それは寒中見舞いのはがきで、私の師事する恩師の死を告げるものであった。
まわりの連絡も取れず、とりあえずご自宅に伺うことにした。

 数年ぶりに電車から降りた駅前の変わり様は何処も同じようで、今の時代が町を飲み込んでしまったようだ。 武蔵野の面影を色濃く残すこのあたりは、まだ雑木林はあちこちに点在しているし小川も埋め立てられずに、何事もきれいに整備されている。 しかし自然を残していてその自然を感じられないとはどういうことだろうか・・・

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2007.01.18 鉛筆・透明水彩

 そのご自宅は雑木林の小高い丘の上に建っている。
不安は的中で誰も居られず、しばらく空き家になるとの張り紙があった!

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お庭の様子は全く変わらず、雑木の小枝が散らばり、丸太は横倒しにされたまま、ボートは立て掛けられ、主のいない彫刻作品も散在しているのも昔のままだ。
ただ一つ違うのは、丸太のベンチがきれいに並べられている・・・・そう、野外音楽会用の会場がそのままになっていたのだ。Nさんはこの企画を待てずに逝かれた。

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 私の高校時代に、Nさんは美術、工芸の臨時講師として赴任された。その期間わずか1年か2年だったが私にとっては初めての第一線で活躍される彫刻家として強烈な印象を受け、まぶしい存在であった。放課後には理由をつけては部室まで足を運んでいただきデッサンのご指導を受けたり、挙句の果ては先生のご自宅にまで押しかけることもあった。
 それからのお付き合いは卒業後も続き、大学時代から社会人になっても受け入れてくださった。
その間50年近くになろうか、 本当に有難うございました。

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安らかにお休み下さい。

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