自由学園 明日館
山手線「目白駅」から池袋に向かって「フランクロイドライト通り」と名付けられた道を歩いていくと住宅街の中にあるこの建物に導かれる。 そう、ライト設計の日本に残る数少ない建物の一つなのだ。
一時期、この近くに住んでいて塀越しに目にしていたが、なんとも低い屋根のぼろぼろ建物・・もちろんライト設計とは気がつかなかった。ガラスは破れ、土台は腐り、外壁は下地丸出し、もちろん庇はよれよれに曲がっていて木造建物の宿命で取り壊されてしまうんだろうなぁと感じていた。しかし何か変だな・・気になるな・・という印象がつきまとっていて、散歩コースにしてから大変な建物と気がついた。 その後、この地を離れてしまったのでそのことはすっかり忘れていたのだが、平成の大修理で大変綺麗な建物となってよみがえった。
自由学園の校友会施設として利用されているだけでなく、一般にも開放されていて、講堂では音楽会・公演等に、また食堂ではパーティーにと現代によみがえった姿は嬉しい限りだ。 ライトを印象づける椅子や大谷石暖炉・照明器具をはじめとしたインテリアはあきさせない。
外観は全体の高さを抑えて中央棟から左右シンメトリーな教室棟で前庭を抱えるようにした佇まいで、その先には道路を挟んで講堂を配している。全体を引き締めているのが屋根の緑青色と、言うまでもないライト独特の幾何学模様である。
挟まれた道路は車も通る公道なのだが自治体の配慮だろうか大理石貼りに舗装され、より一体感のある建物群となった。
自由学園明日館 重要文化財
羽仁もと子・吉一夫妻創立の自由学園校舎として大正10年(1921)から昭和2年(1927)にかけて建設されました。 設計はアメリカの巨匠フランク・ロイド・ライト氏および遠藤新氏です。 平成9年(1997)国の重要文化財に指定され、約3年の歳月を費やし保存修理が行われました。 中央棟、東西教室棟および道路南側の講堂からなっており、ウィスコンシンの大平原を舞台としてライトが発想した草原住宅のたたずまいが特徴となっています。
学校法人 自由学園


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