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東京駅
創建当時の姿(東京駅復元計画パンフレットからCG処理)

東京駅


大正・昭和の歴史を伝える姿

 戦災により2階建となった駅舎を、創建当初の3階建てに復元するという。
その工事が4月から始まると聞き、仮囲いされる前に改めて見ておこうと出かけてみた。

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「中央駅」から「北口」を望む 2006.3.19 鉛筆・透明水彩

 東海道本線の起点となる当駅は建築家・辰野金吾の設計により1914年(大正3年)の開業。 赤白のレンガを用いた豪華な雰囲気を漂わせている建物だ。 アムステルダム中央駅がモデルと聞いていたが、最近の研究ではほぼ否定されている。

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「東京ステーションギャラリー入り口」近く と 「南口」 2006.3.19 鉛筆・透明水彩

 開業以前は東海道本線の起点は新橋駅で、東北本線の起点である上野駅との連絡のためと皇居大手門からの東京中央駅として建設されたものである。 その当時の経済中心は日本橋で駅舎の反対側である。 皇居前は広い原っぱ(丸の内の都市計画後三菱に売却、三菱ガ原としてオフィス街となる草創期)で、大ブールバールを介して皇居と対峙する煉瓦造りの巨大な建物が一つだけ建つ姿を思い描くと、その当時の日清・日露の戦勝気分も高まり、こんなプロジェクトも可能にしたのだろう。そして開業式に合わせて日本も参戦した大戦連合軍のチンタオ陥落で東京駅から皇居に向かう凱旋行進も行われたとのこと。
それが1945年の空襲を受け、本屋は壁体を残して消失し、戦後になってから復興されたが3階建ては2階建てに、左右の(南北の)ねぎ坊主のようなドーム屋根はシンプルな三角屋根に復興された。 それをもとの形に復元するというのが今回の計画なのだ。

 この建物の 往時の姿に戻すこと とは(復元計画の子細は分からないが)、地方でよく目にする町並みの保存・復元とはちょっと意味が違うのではなかろうか。 第一次大戦の戦勝記念碑といっても良いような建物であり、第二次大戦の敗戦と乏しい資材で復興した記念碑でもある。 せっかく築いてきたそんな歴史をリセットして三菱ガ原時代に戻してしまうとは復元された駅も浦島太郎の気分だろう。 増加床面積が懐古趣味のホテルとしてでも利用できればいいというような商業主義的思考からであればなお悲しい。 今の時代の材料・工法で、新たな工夫がなされて、未来に成長していくというものであってほしいのだが・・・

 余談だが、戦後の再建時に使用されたドームの材料はジュラルミンで、廃棄された戦闘機の余剰品を使ったとのこと。


(「東京駅ルネッサンス」パンフレットより)

すべては、ここから始まった。
1914年、東京駅誕生。以来100年近くこの駅は、日本の鉄道を支えてきました。
また震災と戦災に耐えたその勇姿は、人々を励まし、復興へと駆り立てました。
その東京駅が今、生まれ変わろうとしています。
創建時の姿でよみがえる丸の内駅舎。
最先端のビジネス、商業、交通センターに変貌する八重洲口と日本橋口。
それは駅開発という次元を超えた、新しい街の創造です。
歴史と未来、日本と世界が融合する、まさにこの国の新しい中心の誕生です。
東京駅ルネッサンス。次の100年もまた、ここから始まります。

東京丸の内口
(期せずして同じ大正期に建てられた中央郵便局も手直しされた)

復元された東京駅
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丸ビルからのスケッチ 正面の右半分 2012.10.18

 ながぁ〜い建物です。これで半分の長さ。画面左端の中央口から右側の南口しか入らない。
しかし全体を眺めると復元の目玉(ドーム屋根)が何とも滑稽。そうでなくても様式の纏まりのなさに唖然!
これは当時の勝軍続きの異常な時代と原設計者(辰野金吾)に指摘することで、復元設計者には敬意を表します。

東京駅 と 中央郵便局
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北口タクシー乗り場からのスケッチ 遠くにあるのは中央郵便局 2012.10.18

 ここから見ると同じ大正時代に建てられた2つの建築が並んで新装再デビュー。 明治の勝軍を形にした東京駅と世界最先端の近代建築様式を日本的にリファインした中央郵便局が相対峙している。
 この駅舎の復元した姿はディズニーランドの建物のように周りとちぐはぐな可笑しさ。 それに引き替え、郵便局の方はまわりのガラス張りのピカピカオフィスにも引けを取らないモダーンさ!むしろ上品さがひかる!

東京八重洲口
(昭和期に建てられた「大丸」ビルが撤去され、軽やかな姿に変身!)

画像提供:ケンプラッツ< http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/ >

 東京駅では、昨年秋('13/10)に創建当時の姿に復元された「丸の内」に話題で持ち切りだが、その反対側「八重洲口」も変貌を遂げていた。その姿は南北230mにも及ぶ巨大なテント屋根だ。 この駅前広場は日本全国各都市に高速バスが出発する場所だったから、完成後はこの大屋根のひさしに多数のバスが軒を並べるのだろうか?
 完成は9月とのことだが、完成間際のごった返す現場を遠巻きに覗いてみた。

工事終盤戦の八重洲口
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 2013.7.20

 百貨店が入っていた旧来の建物は完全に撤去され、左右の高層ビルに変身。それを繋げるテント大屋根。

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 2013.7.20

 スケッチは写真と違って大きな違いがある。それは現実とは違った光景を目の前にすることが可能なのだ。ということで現実には目の前の光景はフェンスで覆われたものなのだが、それをすべて撤去した風景がこれである。


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