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20201103

京都・醍醐寺


日本郵便による


 奈良から京都経由で帰京することになるが、その途中にある「醍醐寺」に寄ってみることとした。有名なしだれ桜の郵便切手が頭にあったからである。原画は現在、山種美術館に所蔵されている
作者は奥村土牛。師の小林古径、七回忌法要が奈良・薬師寺で営まれ、その帰路に立ち寄ったのが京都伏見の醍醐寺、三宝院。その土塀を背景にした見事なしだれ桜に感じ入り写生を二日も続けたという。その10年後の昭和47年(1972)に再訪し作品『醍醐』として発表。平成九年(1997)に切手趣味週間にちなむ郵便切手として発行された。

今回の奈良から京都醍醐寺経由の旅は偶然のことで意図したことではないことを付け加えておく。


「醍醐」について

 醍醐には
    1) 五味の第5。
    2) 乳を精製して得られる最も美味なるもの。
    3) 仏教の最高真理にたとえる。    ・・・とある(出典:広辞苑・第5版)

 醍醐天皇(885-930[在位897-930])の「醍醐」と醍醐寺の「醍醐」は何なのか?
その疑問はすぐ解けた。

 醍醐天皇の在位中の元号は[寛平・昌泰・延喜・延長]で、醍醐ではないこと(エッ!)
醍醐天皇陵、後山科陵(のちのやましなのみささぎ)が醍醐寺の近くにあることからその名に因んで「醍醐天皇」と追号された。

参考:wiki

三宝院・唐門

広い大きな醍醐寺でも入口は一つ、「総門」をくぐると一直線の道に沿った左右の築地塀の裏側から桜がこぼれるように咲いている。

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三宝院、唐門 2019.03.31 鉛筆・パステル

左手にある「三宝院」への勅使のためにひらかれる「唐門」。右手「霊宝館」の築地塀から大きくしだれ桜がその前を覆う演出でも、この菊と桐の金ピカ御紋と黒漆の唐門と相まってなんて度派手なことか! それをやり過ごし、醍醐寺伽に入る「西大門」を目指す。

下醍醐寺 伽藍群

「西大門」をくぐると目の前は桜が一杯!この時期では開花も不十分かと思っていたが、早咲きのしだれ桜が多いようで、太閤茶会を彷彿させる雰囲気だ。

醍醐寺伽藍

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右手の建物は拝殿 2019.03.31 鉛筆・パステル

ここから「金堂」「拝殿」「五重塔」等々・・・と続く伽藍が配置されているが、桜のかげに五重塔が・・・。

五重塔

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 2019.03.31 鉛筆・パステル

案内図 (クリックで拡大)

 開基は弘法大師の孫弟子にあたる理源大師聖宝(しょうぼう)。貞観16年(874)に京都から宇治に近い山奥に草庵を結んだのが始まり。以来山頂を「醍醐山」と名付け、頂一帯を中心に多くの修験者の霊場として発展、その場所を「上醍醐」という。
 醍醐天皇(在位897-930)は醍醐寺を自らの祈願寺とすると共に手厚い庇護を掛け、その圧倒的な財力によって醍醐山麓の広大な平地に大伽藍を構築、発展。「下醍醐」と呼ぶ。 その後応仁の乱など相次ぐ戦争で下醍醐は荒廃し五重塔のみが残された。しかし豊臣秀吉による「醍醐の花見」をきっかけに寺院建築の移築、三宝院の再建により今日の姿となった。

 醍醐天皇の菩提を弔うため、936年に建立され、951年に完成した京都府最古の木造建築物。
相輪の高さ・階高・庇のバランスの見事さ! 法隆寺・瑠璃光寺の塔と合わせて、「日本三名塔」の1つに数えられている。

鐘楼堂と観音堂

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鐘楼堂と観音堂 2019.03.31 鉛筆・パステル

さらに先に進むと朱塗りのお堂が池に映える弁天堂へと続くが、その手前の鐘楼堂で一枚。弁天堂の先は深山幽谷の予感が・・・「馬酔木」「藪椿」の鮮やかな色にハッとする。陰影礼讃だ!
この先(上醍醐寺伽藍群)にも興味はあるが、後ろ髪をひかれる思いで引き返すこととする。

三宝院(歴代座主が居住する坊・庫裏のようなもの?)

醍醐の花見のハイライト! 三宝院で止めを刺す。門をくぐった瞬間、大玄関前の見事なほぼ満開のしだれ桜がお出迎えである。

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 2019.03.31 鉛筆・パステル

三宝院の自慢は豊臣秀吉が「醍醐の花見」のために自ら設計して作らせた庭園といわれる回遊式庭園だが、花見の季節はその庭園よりも人が多く集まるのが、この大紅しだれ桜!太閤しだれ桜とも云われるが当然クローンだろう・・・
それにしても見事な枝振りで支柱に支えられながら大きく広がる。二週間後?には豊太閤花見行列が催されるが、その時の桜吹雪は相当なものだろう・・・根本に敷かれた枕木はそのためのステージだろうか? 否、桜の根を保護しているのだろう。
そんなことを思いながらこの寺をあとにした。


参考文献:
 


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