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小 諸


「小諸」ときいて思い浮かぶのは島崎藤村の有名な詩
   「小諸なる古城のほとり、雲白く遊子かなしむ・・・」(最初の行だけしか覚えてない)
それ以外の知識は持ち合わせてない。そこで先ずは鉄道路線を調べてビックリ!
 小諸駅はJRが民営化されるまでは急行も止まる信越本線の駅だったのに、北陸新幹線が長野まで開業したら[横川-軽井沢]間は廃線、[軽井沢-篠ノ井]間は[しなの鉄道]。そこまでは知っていたが、さらに新幹線が金沢まで延びたら[長野-妙高高原]は[しなの鉄道]。[妙高高原-直江津]は[えちごトキめき鉄道]。かつての信越本線はズタズタに分断![しなの鉄道]は離れた場所で同じ路線名を名乗る不思議な鉄道となっている!

江戸時代の城内(着色部分)と街道・鉄道との関係(合成)

 その「小諸駅」を降り立ったら目の前が「懐古園」(かつての小諸城)である・・・。後日、小諸城のことを調べてみたらなんとかつての城内に信越本線が通っているのだ! そして浅間山の麓に位置する小諸市は南の千曲川に向けて傾斜する土地で、川縁に陣取る城の本丸は駅より遥かに低い位置にある。この独特な地形が通常の城下町とは大きく違う点で、街道(国道18号線・北国街道)からは窺い知れない、目立たない、大変地味な城となっている。

 この事を知り、城下町(宿場町)に面している最初の門(大手門)から城内を見て回ることとする。

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大手門 2016.11.16 鉛筆・水彩

 またの名を「瓦門」・「四之門」と云い、この城の正門。現在の門は慶長17年(1612)の建立といわれ、青森・弘前城の追手門と共に江戸初期の現存する大手門である。
 明治維新後は廃藩置県に伴い民有となって利用されていたが平成20年に江戸時代の姿に復元された。

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三之門・表から 2016.11.16 鉛筆・水彩

 大手門と同様に一連の造営で建設されたが、寛保2年(1742)小諸城下を一瞬にして呑み込んだ大洪水はこの場所に集中し、閉じられた門は一時この洪水を支えつつも流失したという。この城の宿命・・・本丸に近づくほど下がり、本丸との標高差は30メートルほどにもなるという。そのためこの城の別名を「穴城」ともいう。
 現在の建物は明和2年(1765)に再建されたもので、両袖の塀には矢狭間・鉄砲狭間が設けられている。

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三之門・内側から 2016.11.16 鉛筆・水彩

 両袖の裏側はいたって実戦的!広い階段で人材・物資の支給を可能にしている。
この門から内側が「懐古園」として小諸城跡が残されている。

懐古園

さぁ、ここからが懐古園! 三之門内側からは城跡だけとなるが城壁だけがかつての城を物語っている。 道は幾度も折れ曲がって進む。

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黒門橋 2016.11.16 鉛筆・水彩

「紅葉谷(もみじだに)」と説明書きのある場所がここで、訪ねたときはまさに紅葉真っ盛り! そして紅葉谷という空堀のいろの艶やかなこと!

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黒門橋を見下ろす 2016.11.16 鉛筆・水彩

左手の城壁をあがって黒門橋を見ると空堀がいかに深いかが判る。

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黒門橋を見返す 2016.11.16 鉛筆・水彩

橋を渡った所が黒門跡だとの説明があるが、この先は本丸だから黒門とは一之門ということだろうか?
・・・・・

本丸
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紅葉ヶ丘から本丸跡を望む 2016.11.16 鉛筆・水彩

黒門橋を渡ると小諸城の核心部分だ。三方を壕で護られ、もう一方は急傾斜となっている千曲川である。最初の広場が「紅葉ヶ丘」で名前の通りの鮮やかな色で覆い詰めた場所!
本丸への本来のルートはこの広場からさらに「馬場」を経由して反対側の階段を上って本丸に至るという渦を描いて城に入る構成。しかも奥に行けば行くほどレベルは下がり最後は階段を上がるのだとは!、生活を考えたら不便きわまりない。

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黒門跡から本丸に入る 2016.11.16 鉛筆・水彩

 城も取り壊されて、本丸跡は「懐古神社」となり、それでは不便?と、黒門から直接入るルートが設けられている。すなわち後世が城の再利用で改修したわけである。それがこの場面、なかなか上手く出来ていて本来の道か?と見間違える。

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本丸は神社 2016.11.16 鉛筆・水彩

 北国街道から直接入る「大手門」から「三之門」の間は鉄道で分断されていて、その部分は当時の様子はうかがい知れないが、「三之門」から本丸へは城壁だけしか残っていなくても充分当時の様子を知り得た。今思い返すと丁度アリが複雑な穴を掘った家(城?町?)のように、この城もそんな風に思えてきた。


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