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群馬県側から見た利根大堰。6kmほど上流に上ると大泉町である。。

大泉町・文化むら


はじめに(大泉町について)

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大泉町は利根川中流域左岸に位置する内陸工業都市

 「大泉」という地名は全国各地に多くあると思うが、ここでいう大泉は群馬県太田市の南隣・邑楽郡大泉町のことである。南に利根川と接し、その川向うは埼玉県熊谷市になる。このあたりは太田市の「天神山古墳」や行田市の「埼玉古墳」で知られた古代史がいっぱい詰まった場所であるが、この大泉町からも沢山の古墳や史跡が発掘されている。戦前は中島飛行機の工場のある軍需都市として、戦後は三洋電気や富士重工業をはじめとする工場が集まった、日本でも代表的な内陸工業都市である。労働力は日系のブラジル・ペルー人にも支えられていることから、日韓ワールドサッカーの頃はよく話題になった町でもある(なんと日系人の人口は一割にもなるそうだ)。企業からの税収が多いことから財政的に自立した裕福な町である・・・が、この厳しい現在もそうなのかは定かでない。
 この「大泉」で気付く事は、町内に「小泉」という名称がやたら多いことである。鉄道が『東武小泉線』、駅名が『小泉町駅』、史跡が『小泉城址』『小泉神社』・・・。じつは昭和32年(1957)に小泉町が大川村と合併して『大泉町』となったからだった。

文化むら


 かなり以前に道に迷い込んで知った施設だが、住宅街の中に魅力的な建物がある・・・と思いながら通り過ぎた。その後幾度か通るたびに次回はしっかり見てやろうと思っていたものである。

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文化むらパンフレットより

 案内パンフレット(左図)でわかるように、音楽ホール・展示ホール・資料館の3ブロックで構成された文化センターで、各ブロックは機能に逆らうことなく出来るだけ小さな建物の集まりで計画してある。周囲は住宅街なので、高さ・大きさ・色彩に配慮しているのがよくわかる。 少しパンフレットから引用すると、大ホールは808席のコンサートホールで、本格的な音響設計がなされているという。備えているピアノ2台(スタインウェイ・ベーゼンドルファー)とチェンバロというから本格的な音楽演奏を標榜しているようである。
完成は
 大ホール棟(RC/2F)・母屋(W/2F) が昭和63年(1988)、
 展示ホール棟(RC/3F)民俗資料展示棟(W/1F)・茶室棟(W/1F) が平成3年(1991)である。

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文化むら全景 2010.1.6 鉛筆・透明水彩

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 南側から見た全景は大小様々な大きさの屋根が連なっている。多用途の建物をひとつの建物にまとめるのでなく、用途ごとに同じような形態の屋根で分散させた配置は、ちょっと白川郷の村を思い出させる風景になっている。 ここでは瓦が注目である。特注であろう大きな瓦は、このあたりの納屋の屋根に辛うじて残っている瓦葺とよく似ている・・・というか、それを意識して形にしたものだろう(右図)。その瓦の面戸を大事にして軒樋を廃していることと、出入口周りのアクロバチックなガーゴイルの排水処理で、すっきりした屋根の形にしている。
外装はコンクリート打ち放しとガラスブロックの妻壁という素っ気ない材料の取り合わせが周囲に威圧感を与えない控えめな建物にしていると見た。

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文化むら中庭(左の立像は広場中心に立っている「冬の像」の拡大  2010.1.6 鉛筆・透明水彩

 建物に誘われるままに音楽ホールの中庭に導かれると、この中庭だけは煉瓦色と白色の縞模様舗装、その中心に彫刻が掲げられている。音楽ホールのホワイエからの視線を集めるシンボルとなっている。 佐藤忠良の作品で、題して「冬の像」。空っ風に耐えている姿だろうか。
 このアングルからは「資料館」母屋が、見事に調和して見える。ここまできてようやく理解できた!この建物はあの母屋を考慮して計画されたものと確信する。

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文化むら資料館(左奥に見えるのは音楽小ホール棟) 2010.1.6 鉛筆・透明水彩

 この「資料館」は美術・音楽の文化だけでなく、未来に伝えていく伝統をテーマにしたもののようである。正面奥の建物は地元民家を移設したもので、それを中心にして、右にはかつての生活を示す民俗資料の展示棟、左には日本の伝統を実感する清楚な茶室棟が配置されている。それを一屋敷に見たて、正面に大きな門構えがしつらえてある。コンクリートとガラスの大きな建物だけが決して主役でなく、全体で大きな むら を形成している姿が好ましい。

地元の民家とされる「母屋」には大変興味をそそられたので「家」コーナーに掲載したがこちらからどうぞ。

 Webで知ったことだが、大ホールの音響設計は「永田音響設計」。しかし設計者はいまだに不明。知ってらっしゃる方がおられましたらお教え下さい。 なお、このホールをホームグラウンドにしているヴァイオリニストが足利市在住(?)の「古澤巌」である。


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