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里山の春

 東京では例年より一寸早い桜の花の開花宣言! そんな時期に飯能を訪れてみた。

新たな民家に遭遇

 2008年の秋に訪れた民家再訪が目的の散歩である。当時の民家ははこちら→「下畑の民家」
飯能駅を下車、徒歩一時間ほどで目的地に着くはずのお手軽散歩である。桜の花は期待していなかったが、辛夷の花がちらほら・・・確実に春の訪れである。前回は西側から訪ねたので今回は東側からのコースをとった・・・が、主要道路は大型車の多いこと!当然脇道を歩く・・・と?

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 2015.03.28 鉛筆・透明水彩

 目的のお宅間近と思いきや、茅葺屋根の立派な民家を発見!御当主は庭で多くの方々と農作業中・・・にもかかわらず、親切にも手を休めて話してくださった。

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 2015.03.28 鉛筆・透明水彩

 屋根の頂部には小屋が付いているので養蚕に関係あるな?と思って訪ねたところ、蚕種(蚕の産んだ卵)生産をしていたという。明治以降日本の主要輸出品の一つは絹糸だが、それと並んで欧州に盛んに送られた蚕種も当時の重要な輸出品であった。

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 2015.03.28 鉛筆・透明水彩

 蚕種に適した場所は桑の葉の害虫(カイコノウジバエ)を寄せ付けない場所、そのためには川原の乾燥と川風があることだという。(三沢勝衛『風土論』) 桑は強い根を張るので川の氾濫にも流されないので、川原の稲作不良地を桑畑としてきた。しかしこの地は狭い山間部を流れる入間川の支流のこと、川原も狭く石積畑は健康な蚕を育てたのだろう。

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実測なしの目分量でスケッチ。断面は想像図 2015.03.28 鉛筆・透明水彩

 蚕種業としては桑の生育期間中が蚕の飼育期間だから春先・晩秋では暖房も必要とする。そのための換気装置が屋根の頂部にある「けむだし」である。
 埼玉・群馬を中心とした養蚕農家の民家様式「櫓(やぐら)造り」がその産業を支えたが、その本物に出会えたとは!  その記憶を留めておくために立・断面スケッチを記しておく。

民家再訪

 2008年の秋以来の訪問だから足掛け7年、当時の民家は当時と変わらない佇まいだった。
ご当主はあいにく不在だったが、ご挨拶だけはして周辺をスケッチしてみた。

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 2015.03.28 鉛筆・透明水彩

 まずは裏の神社にあがって、その階段から一枚。荒川・隅田川に注ぐ入間川の支流・成木川は青梅丘陵を水源とした川である。 狭い河岸段丘に春の息吹を感じる・・・春がようやく来たのだ! 対岸はすぐ目の前だが、隔てる川は深く切り込んでいるので目にふれることはない。正面が、あの上野・浅草観音生誕地とされる岩井堂のある場所の辺りか?

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 2015.03.28 鉛筆・透明水彩

 山を背にして建つ民家。田畑を最大限に利用する智慧が斜面なりに段々に作られる石積の擁壁と家並み。単純に南面しては建てられないが、作為のない自然体は結果的には画一的でない複雑な軒の連なり・・・景色に解け合った風景だ。

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 2015.04.17 鉛筆・透明水彩

この時期、山々は見事な新芽で彩られ里山の一番輝いている季節ではなかろうか。そして好天気なこの日、飽きもせず再び同じ場所を訪問!全体を見渡せる場所での一枚。じつは対岸の岩井堂を眺められる場所探しをしていたのだが・・・近付ける道が分からず、そちらは諦めた次第。友人の話では、油絵で多くの民家を描いた画家「向井潤吉」もこの辺りで昔、見かけたとか・・・。

岩井堂

 この地にはにわかには信じられない言い伝えがあった! 江戸・浅草の浅草寺のご本尊「浅草観音」はこの岩井堂にあったものだという。

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崖っぷちにへばりついてのスケッチ 2015.03.28 鉛筆・透明水彩

その思いがけない伝説は国道沿いに一枚の立て札に描かれていた。しかしその場所から目的地までは長い急階段と崖縁を掻き分けてようやく到着できる場所。いやはや狭い場所にこんなお堂を建てたものだ! 成木川は暴れ川だと想像する。だから川は深く浸食し、洪水は一溜まりもなく川端のお堂も呑み込んでしまう・・・

浅草観音生誕地 岩井堂縁起

 およそ1400年前、一人の旅僧がもたらせた観音像が嵐により転落し、成木川から浅草浦へ流れ着いた後、漁師の網で海上げされた観音像が岩井堂観音であるという口碑伝承が実を結び昭和8年9月15日 浅草観音の御分身として聖観音像が岩井堂に奉還された。
同年、海上げ記念地である駒形堂が新築され、同時に岩井堂も同様の形式で新築された。
これは当時の浅草寺執事長清水谷恭順師(後の24世貫首)の尊い尽力によるものです。
そして師が口碑伝承を真摯に受け止め、浅草観音の生誕の地を尊ばれた結果であり、深い観音信仰の顕れである。
我々の遠い祖先から受け継がれてきた信仰の象徴、岩井堂観音は郷土の誇りである。

一八八会経営者会議
岸高山 歓喜寺
平成21年6月

観音堂説明板より

山の中の演奏会

 桜の時期が過ぎると山の木々は一斉に新芽が騒ぎ出す・・・ そんな時期に飯能を訪れた。
山の中のリハビリ施設で、我ら男声合唱団のささやかなコンサート!

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 2015.04.17 鉛筆・透明水彩

 演奏の最後を飾るのは、我らが団員の箏曲演奏。 その間、最後列で譜面の裏に落書きスケッチ。
みなさんの真剣な眼差しには驚かされた!! そして穏やかな顔・顔・顔・・・
爽やかな気分をいっぱい頂きました。

入間川の始まり

 春真っ只中。そんな誰もがウキウキする時期に飯能の地酒屋が蔵開き・「酒蔵まつり」として酒蔵を解放、全種無料試飲、利き酒大会をするというのでかつての地元小学生仲間と出かけてみた。最寄りの駅に朝一番に到着でも既に一便は出発。休日の駅前は朝っぱらからベンチでコップ酒を傾けている御仁もおられる・・・・先が思いやられるスタート。会場はシャトルバスで5分ほど。

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 2015.04.26 鉛筆・透明水彩

 酒蔵は入間川に面する場所で既に順番待ち。さっそく利き酒に挑戦するも香りに酔い?みな上機嫌。対岸は青梅に連なる阿須丘陵。5月の連休前は新緑に萌えていて、私達を招いている?
地元友人の話だと、この地点が「入間川」の始まり!右手から注ぐのが「名栗川」で、対岸から注ぐのが「成木川」。 ほろ酔い気分で対岸の成木川を川上に向かってピクニック・・・・・。

 

カタクリの花

恒例となった里山の演奏会・・・最寄り駅から徒歩でも一時間ほどの会場までを春の陽気に誘われて、ぶらりぶらりと歩いて訪問した。

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 2016.03.27 鉛筆・透明水彩

じつは途中にカタクリの花が毎年咲いているという場所を聞いていたからだが、ありました!自動車が頻繁に往来する道路脇に咲いていました!!
しかし気になることが一つ・・・花の色が意外に白いのだ。こんな品種があるのか?自動車の排気ガスでそうなったのか?私には分かりません。
もう一つの目的、昨年見つけたニリンソウの群生地!今年は如何に?・・・残念ながらまだ咲いていませんでした。しかしここでも気になること・・・規模が大分縮小していた。これも環境破壊から? いやいや今回はキジや狸夫妻にも出くわした、そんな場所ですぞ。

飯能河原

開花宣言から寒い日も続き、今年(2016)のサクラは長生きしそう・・・

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 2016.03.31 鉛筆・透明水彩

天気快晴。合唱練習は夜だから、ちょっと早めに川原散歩。花の蕾はチラリホラリ・・・ここにも春がやってきた。久しぶりに携帯椅子持参で定位置から一枚。左手の夏には賑わう茶屋はキレイに取り壊され、造り替えるのだろうか?騒がしい春になりそうだ。


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Mozilla, Chrome, Opera & I.E. に対応(20150123)


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